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16時間にも及ぶ大手術を予定されているブログのお知り合いがいらっしゃいます。その際かなりの出血が予想され、今から輸血用血液を確保する必要があるそうです。詳細は下記のブログにあります。ご覧になっていただき、条件が合うようでしたらご本人にご連絡いただくと幸いです。またもしリンクだけでもしていただくと嬉しいです。ささやかな記事の集まりが力になると思います。当分トップに置きます。この記事のコメントは結構です。
        カバコさんのブログ

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2009.12.28 / Top↑

★ 「火星の人類学者」はアメリカの脳神経医師、オリヴァー・サックス氏のノンフィクションです。前々回の「妻を帽子とまちがえた男」の著者です。こちらも奇抜な題名で、ある自閉症の動物学者が自らを言った言葉です。7人の人が紹介されています。ここでもまた人間の脳の深淵に驚きました。著者を信用できると思ったのは、分からないことは分からないとはっきり述べていることです。すべてを断言するものは眉にツバをつけて聞いたがいいと思っています(ヒトラー、A尊師のようなペテン師の極意はとにかく自信満々の断言です)。脳科学はここまで進歩しました、しかしまだまだ分からないことが多いのです。科学者のあくなき探求に深い敬意を表します。科学が結局一番のロマンのような気もします。

① 色盲の画家―目に損傷はないけれど51qwqkabxbl__sl500_aa240_
 交通事故により完全色盲になった画家が登場します。色彩を命としていた画家が色を奪われ、死ぬことも考えます。目に異常があるわけでなく、脳のわずかな色覚神経に異常が起きたのです。色覚神経だけでなく色そのものを判断する脳システムに異常が起きたのかも知れません。こうなると色がすべて脳から消えます。脳の色判断システム全容はまだわかっていません。絶望した画家も爆発したような鉛色の落日に感動し、色のない画家として生きることを決意、モノクロのすばらしい絵を残しました。

② 60年代に固まったまま―脳腫瘍
 世界的に若者の反抗が燃えさかり、ドロップアウトする若者も増えた1960年代後半、グレッグは音楽や薬に溺れたあと新興宗教集団にのめり込みます。しかし大きな脳腫瘍が彼をむしばんでいました。そのため失明し、しかも1970年頃以降の記憶がなくなってしまいました。60年代のヒッピーとして固まってしまったのです。腫瘍が脳内の神経を圧迫していました。静かに座り込むグレッグは宗教集団には悟りを開いた覚者に見えました。やがて彼は見えると言うこと自体忘れたようでした。過去も未来もないただ現在を夢のように生きるようになります。彼がオリヴァー先生とマディソン・スクウェア・ガーデンロックコンサートに行った場面はしんみりします。20年ぶりの外出ですが彼は大いに盛り上がりました。60年代の懐かしいロックに熱狂し、拍手し、大きな声で歌います、すでに亡くなった歌手の幻もステージに見ていました。しかし翌朝、彼はオリヴァー先生に「マディソン・スクウェア・ガーデンなど行ったことはない」と答えるのです。

③ 発作も手術中はない―トウレット症候群の外科医
  体をよじったり、顔をしかめたり、汚い言葉を無意識に吐くなどの症例をチック症と言いますがチック症が慢性化したものがトウレット症候群です。一見何かに取り憑かれたような症状を現し自分では制御できません。昔は道徳的・精神的問題とされましたが、1960年代になり、脳内物質ドーパミンのアンバランスによるものが大きいとされました。神経生理の異常で通常は抑圧されている行動が解放されると考えられています。手術中に症状が出たらとても危険と思われますが、外科医ベネット博士はこのトウレット症候群です。しかし手術中にはけして症状は出ず、優秀な外科医で評判もよく、何と飛行機まで操縦します。器質障害による症候ですら高い使命感で抑えているとも言えます。

④ ものを「見る」のは脳―開眼手術のあとに待っていたもの
 50歳のヴァージルは盲目でした。結婚するにあたり婚約者の熱心な勧めで目の手術を受けます。何と視力は回復しました。泣いて喜んだヴァージルですが、すぐに簡単にはいかないことがわかります。たとえば犬を見ても犬という概念、意味づけがなければただの気味の悪い物質です。木を見ても葉っぱや幹の部分部分が見えるだけで全体を「木」として認識はできないのです。あれが犬、木と教えられても同じことです。知識の問題ではなく見えた物を再構成する脳の問題なのです。50年近く盲目で暮らしてきた彼には物の概念がなくゼロからの作り直しで前より苦しくなりました。触れたら物を確かめることができますが、いちいちさわって確かめても限界があります。彼は焦りイラつきます。そんな彼も肺炎により重態におちいり再び視力をなくしてしまいます。彼は再びの盲目を「贈り物」のように感じ安らかな気分を取り戻しました。

⑤ ふるさとに絵で帰る―ドストエフスキー症候群
 イタリアの村ポンティト生まれの画家、フランコは生活がやっていけず若い頃アメリカに渡りますが、ふるさとポンティトへの思いは消えたことがありませんでした。ある時奇妙な病気で入院し重態におちいります。その時ポンティトの夢を立て続けに見ました。かろうじて退院して以来、ポンティトの姿がいつも頭に浮かぶようになります。それは制御できるものではなく、夜も昼も頭に浮かびました。幻影と呼ぶには余りにも鮮明な村のたたずまいです。それまで絵など画いたことなかった彼はそれ以来、憑かれたようにポンティトの絵を描き出します。まさにポンティトに憑かれたのです。驚くべきことに音も匂いも鮮明によみがえりました。心の半ばが実際ポンティトにいるようなものでした。
 これはゴッホやドフトエフスキーにも見られた側頭葉癲癇(てんかん―脳細胞のネットワークに起きる異常な発火―てんかん放電―のため発作をおこす)の症状と見られていて「ドストエフスキー症候群」とも命名されました。このように異常な芸術的・宗教的創造力を示すことが多くあります。フランコの絵はポンティトを出て30年以上たつのに写真以上に正確にポンティトをよみがえらせています。幸福だった幼い日の平和な静かな村です。彼の絵は結構有名になり、イタリアでは何度も個展が開かれました。

⑥ 一瞬で写しとり記憶する神童―自閉症・サヴァン症候群
 「妻を帽子にまちがえた男」の双子は数の天才でしたが、本書では絵の天才が書かれています。7歳の頃から教えられるでもなく非常に精密な遠近法も完全な絵を画きます。建物などちょっと見ただけで正確な形を脳に刻み込むことができました。それを記憶してずっとあとからでも精密な絵で再現できました。空は青、太陽は黄色などという観念や抽象がないだけ物の本質を見たままに描けたのです。しかし彼は自閉症のため通常の会話や社交はできず、一人で町を歩くこともできませんでした。

⑦ まるで火星の人類学者―アスペルガー症候群
 アスペルガー症候群は「高い機能を持つ」自閉症と言われています。アスペルガー症候群の人は自意識を持ち、内面的な感情などを伝えることができますが、自閉症では通常それはできず、内面は推測するしかありません。テンプル・グランディンは自閉症に関心のある人であれば知らない人はないと言われるくらいの有名人で、著書もあります。幼児の頃は大便で粘土かわりに遊び、それを金切り声を上げまき散らすような「異常」児でした。その後努力して動物学の博士号をとり会社も経営し、家畜用施設設計では世界的に名を成しています。
 しかし彼女には人間的交流感、情感などは全く欠けています。ロミオとジュリエットを見ても「何をしているのかわからない」と言うほどです。そこで彼女は異常な努力をします。様々な状況で人間がどう動き、感じ、表情に出すか膨大なデータベースを自分で作り、それを一つ一つ学習していったのです。感情面のマイナスを異常な集中力という自閉症特有のパーソナリティでカバーしたのです。また彼女独特の「締め上げ機」(抱っこ機)も作っていました。幼児の頃彼女は抱っこされることを切望していましたが、人に抱っこされるのは怖いという矛盾した感情がありました。それを解決する夢の「抱っこ機」なわけです。彼女のような合理主義者が「抱っこ機」で救われたというのが人間に必要なものを示唆しているようです。動物に興味をもったのも動物は裏表がなく動物の感情は彼女も理解できたからです。動物は裏切らず、ごまかすこともありません。「火星の人類学者」とはこの地球の人間とは真からの交流ができないことを指して彼女自身が自分のことを形容した言葉です。

★ 新たなアイデンティティ 今後の課題 

 ここでは主に⑤、⑦の2例について私見を述べたいと思います。
 のポンティト村は実は戦争中にナチスに破壊されました。麗しい村の破壊はフランコ一家も打ちのめします。フランコは絶望した母に「もう一度ポンティト村を僕が作ってあげる」と約束します。彼の異常な幻想は直接は脳の器質異常によるものですが、底にはふるさとへの強い愛着、母との約束があったのです。その強い思いが重態におちいったとき脳神経にあふれたのだと思います。彼は何枚も何枚も画くことでポンティト村を作り上げ母との約束を果たしていたのです。脳の器質的障害は人間の精神に影響を与えますが、精神もまた器質に影響を与える、人間の思いの強さに驚きます
 のテンプルさんでは自閉症の不思議さに驚きました。まだメカニズムは完全に解明されていず療法も決定的なものはありません。しかし第二次大戦頃までは自閉症という概念すらなく一律に知恵遅れとくくられていました。その後も育児の母の影響が大きいと言われ母親に必要以上の負担を与えました。しかし1960年代になりようやく脳の器質的障害が原因であることが解明されたのです。脳の感情を司る古い皮質と人間だけが発達した大脳前頭葉皮質の回路が不十分で総合的自我が発達しなかったと考えられています。症状も一人一人違い把握が困難です。共通しているのは感情、情動の未発達、コミュニケーションの不全などです。しかし一方ではテンプルさんのように異常な集中力、生真面目さ、倫理的潔癖など優れた資質も見られます。
 テンプルさんも、「もし自閉症がなくなればわたしがわたしでなくなるから、このままでいい」と述べています。自閉症としてのアイデンティティをすでに確立し無理に「治療」しなくてもよいと考えているわけです。の画家も苦しんだあと、このままモノクロの絵で勝負すると決意しています。のグレッグは本人はそれこそ悟ったように平安な気持ちです。のベネット医師もトウレット症候を自分の一部と考え、薬で症状を抑えたときむしろ不快になると述べています。のヴァージルは盲目に戻り心の平安を得ましたの少年は絵を画くため世界中を回り、活躍しています。
 このように一概に「病」を治療するのではなく障害に合わせた新たなアイデンティティを作り上げ、立派に活躍している人も多いのです。人間の脳の可塑性、可能性は一般通念を超えて人間の新たな地平を示していると言えます。
 もちろん、本書に書かれた人たちは数少ない「成功者」が多いのですが、たとえば自閉症の方では特有の長所も多いにも関わらず、多数が社会に出ることなくひっそりと暮らしています。個人的に新しいアイデンティティを確立しても社会では通用しないことも多いでしょう。大多数の人にとり「社会復帰」が一番の課題であることは承知しています。そのような現状を少しでも打開するためにはまず社会一般の正しい知識と対応が必要です。自閉症とかの方たちは通常の病気と同じであり、彼らの世界がきちんとありそれを尊重しなければいけないと言う意識です。また本書に書かれたような人もいることを伝えていくのも意義あることだと思っています。もちろん大きくは政治・行政の適切な政策が必要なことは言うまでもありませんが。

★ 火星の人類学者 オリヴァー・サックス 著 (ハヤカワ文庫NF)

2009.12.04 / Top↑

★ 「妻を帽子とまちがえた男」、シューリアリズムの絵のようにかなり奇抜なタイトルです。著者は映画「レナードの朝」の原本(実話)を書いた脳神経医師、オリバー・サックスです。実際彼の患者に「妻を帽子とまちがえる」男がいたのです。そのような一見とても「奇妙」な患者さんにサックスは向き合います。人間とは、人間の認識とは、「病」とは、深く考えさせるノンフィクションです。

★ 赤いリンゴの本当の色は 本当の形は51wyst15eal__sl500_aa240_

 哲学の分野に認識論というのがありますね。たとえば赤いリンゴがあったとして、赤いリンゴも夜になれば色は分かりません。いや真っ暗であれば形さえ分かりません。闇の中で本当に赤いリンゴは存在しているのか。赤いリンゴと認識するのは、リンゴに光が反射し赤の波長の光だけを認識しているに過ぎず、赤いリンゴの真の姿は何なのだというような、ヒマなことを哲学者は考えてきました。でもいまやこのようなことは脳科学者の領分です。目で赤いリンゴを見て、それを赤いリンゴと認識するのは脳です。光そのものには色はなく赤と認識するのは脳なのです。ですから目が完全であっても脳の機能に障害があれば青いリンゴに見えたり、極端には帽子にさえ見えます。人間は目でものを見ているのではなく脳で見ているのです。現にあるものではなく脳で再構築した映像をそのものとして認識しています。ですから魚には赤いリンゴはまったく違ったものに見えるはずです。
 このように脳の障害により不思議な知覚や能力を持つ24例の患者さんが紹介されています。一つ一つが短編小説のようにおもしろいと言っては語弊がありますが、その奇妙さに驚きます。タイトルの音楽教師は人間の顔や物体が正常に認識できないのです。ですから妻も帽子に見えます。まあ靴に見えるよりはましでしょうが。頭がオルゴールになり突然音楽が聞こえだしたお婆さん、娼婦をしていたため性病となりはるか昔の少女時代に戻ってしまった女性、薬のせいで犬のように嗅覚が発達した男、「博士の愛した数式」という小川洋子の作品では脳損傷で記憶が80分しか持続しない博士が登場しましたがこのような例は実際にあります。この本にも20歳くらいまでの記憶は残っているがその後の記憶は数分しか持たない軍人が登場します。
 ほかに知能指数は60ほどで足し算はできないのに何万年先のイースターの日をピタリと当て、6桁の素数だけを瞬時に言い当てることのできる数的天才の双子、自分の足を死体から付けられた足と騒ぐ女性は自分の足を自分の足と認識できないのです。失語症であり言葉は認識できないのに人の言葉に含まれるウソは鋭く見抜く患者、にわかには信じがたい話ばかりですが紛れもない事実です。

 患者さんたちはけして精神の異常ではありません。すべて脳に器質的障害があるのです。赤いリンゴを赤いリンゴと認識できないのです。上記の例でも人間のあこがれが切ないです。オルゴールのお婆さんは、幼い頃いい思い出のなかった故国アイルランドの曲が頭に鳴り響いています。娼婦だった女性は無垢だった少女時代に戻りかわいい少女になりきっています。ふるさとの幻影に包まれ死んでいくガン患者もいます。障害のある脳はきっと失われた良き日をよみがえらせ、苦しかった人生を補償しているのでしょう。人間の悲しみが胸に迫ります。幻であってもふるさとの美しい音楽に包まれたおばあさんはきっと幸せだったでしょう。脳の絶妙な平衡感覚に驚きます。双子は「サヴァン症候群」として知られる人たちで、数を文字の数としてではなく右脳で画像として瞬時に把握していると考えられています。失語症の患者は言葉そのものは理解できなくても、声の抑揚や調子など「情感的調子(フィーリング・トーン)」を感じ取る力は失われておらず、むしろ敏感になることさえあると言われています。人間の脳は何と不思議なものなのでしょう。脳は障害があってもそれを補償し人間としてのアイデンティティを保とうと懸命に努力しているのです。脳は復元力があるのです。またある時は苦悩の追憶を消し去り至福の時を与えようとしています。もちろん誰も意識してしていることではありません。
 患者さんたちには通常感じる赤いリンゴが赤いリンゴと見えないだけなのです。その赤いリンゴは本当は青くて四角なのかも知れません。赤いリンゴはある決まった状況でそう見えるだけです。青いリンゴに見え、四角いリンゴに見えることはけして異常ではないのです。患者さんたちは赤いリンゴが見えていると思っていることでしょう。彼らの世界を尊重し、人間としてのアイデンティティを保つ手助けをしていけば彼らなりの幸せな時間を過ごすことができる、この本を読みそうおもいました。
 そして今や心の病も多くは脳の障害によるものであることがはっきりしました。社会生活を送るにはやはり赤いリンゴに見えないとまずいのは事実です。また自分は「異常」であることを自覚している人はとても辛いでしょう。器質的障害が主であれば決定的治療法もきっと発見されると思います。科学者のあくなき探求を期待して止みません。

★ 「心の傷は脳の傷」 松沢大樹東北大名誉教授

 脳の器質障害が精神に影響を及ぼすと言うことでは、2007年3月、次の記事が中日新聞に掲載されました。心の傷は脳に明らかに傷を作り、その傷はMRIなどではっきりと確認できるというものです。東北大名誉教授の松沢大樹氏の説です。新聞には傷のついた脳の断層写真も掲載されていました。ただこれについては精神科医の反論も大きなものがあるようです。もちろんわたしは精神医学も脳医学もまったくのド素人ですので判断はつきませんが、このような説もあると言うことで掲載いたします。ただわたし自身、以前は精神の病は精神的なものが主因と思っていましたが、以前記事にしました脳内物質の異常等、脳の器質的障害も大きく作用していることは現在明らかです。またド素人にとり病が治癒すればそれは真理です。この理論で治癒した人はたくさんいます。
 そして最後の「いじめは、脳を壊す。だから、いじめは犯罪行為、れっきとした傷害罪なんです」と言う言葉は全面的に同意します。 

 『東北大名誉教授の松沢大樹(80)は、かなりの数の生きている人間の脳を、その目で“見て”きた「イメージング脳科学」の権威である。
 MRI(磁気共鳴断層撮影)やPET(ポジトロン断層撮影)を用いた症例研究から、すべての精神疾患は脳内の「扁桃(へんとう)核」に生じる傷によって起きると結論づけているが、松沢によれば「深刻ないじめによっても、子どもたちの扁桃核に傷は生じている」と言うのである。傷というのは、比喩(ひゆ)ではない。本当の傷、つまり、脳にできた「穴」。「松沢の断層法」と名付けた独自の撮影方法によって、初めてその姿がとらえられた。
 現在、総合南東北病院・高次脳機能研究所(福島県郡山市)に所長として勤務する松沢によると、深刻ないじめを原因に心の不調を訴えて来院してきた子どもたちにはすべて、扁桃核の傷が認められた。その数は最近3年間で100人以上に上るという。
 扁桃核に傷がつくことで、精神疾患が起きる、とするのが松沢の説。症状から、うつ病や統合失調症と診断されたケースで、それぞれ特有の傷がみつかったが、その後、画像診断を重ねた結果、どの患者にも、両方の傷があることが明らかになったという。ただ、統合失調症より、うつ病の症状が優勢な場合には、扁桃核の傷のほか、隣接する「海馬」の萎縮も現れるとしている。
 ある少女の場合は、外国人と日本人の両親の間に生まれ、その「人並み外れた美しさ」 (松沢)のために中学、高校を通じて、いじめに遭った。15歳で発症し、自殺未遂を何度も繰り返した。断層撮影すると、やはり、うつ病と統合失調症に特有の傷が、扁桃核にそれぞれ認められた。
 扁桃核は、脳底に左右対称に二つあり、傷も必ず左右対称に現れる。扁桃核一つの大きさは親指の先ほどで直径約15ミリ。形がアーモンド(扁桃)に似ていることから、その名がついたとされるが、松沢は「ハート形をしている」という。まさに“ハート”が傷つけられているわけだ。
 そして、そうした傷は、病気の症状が消失するのと同時に消える。松沢によれば、治癒する時には、扁桃核に接する海馬にある神経幹細胞が増生し、傷を埋めたり、修復したりするそうだ。「ほとんどすべての人が適切な治療によって治癒することがわかってきている」という。
 扁桃核に傷がつく原因については、「いじめを受けるなどの要因で、脳内の神経伝達物質のドーパミンとセロトニンのバランスが崩れるせい」と松沢はみる。
 精神の安定や睡眠にかかわるセロトニンが減少し、快感や運動調節に関係するドーパミンが過剰になって毒性が現れるからではないか、とする。好き嫌いなどの情動に関係する扁桃核のことを、松沢は「愛の神経核」と呼ぶ。
 扁桃核に傷がつくと「愛が憎しみに変わる。さらに記憶認識系、意志行動系などおよそ心身のあらゆることに影響を与える」。
 近年、技術開発と研究の進化が、それまでブラックボックスだった生きている人間の脳の内部を明らかにしつつある。そして、目には見えないと思われてきた、いじめによる「心の傷」までも。
 松沢は、念を押すように繰り返
した。「いじめは、脳を壊す。だから、いじめは犯罪行為、れっきとした傷害罪なんです」 (文中敬称略)

 著書によると簡単な改善方法があります。運動と食事により欠損部分を修復することができると言うことです。もちろん外に出ることさえきつい方もおられるのでしょうが、運動は室内でもできます。食物は、セロトニンのもととなるトリプトファンを多く含むバナナ、大豆、赤身の魚など、神経幹細胞の膜を作る元となる豚肉や牛肉、牛乳も大事です。もちろん普通に野菜類をとることも大切で、タバコはよくないそうです。そして運動、日光の元が望ましいが、どのような形でも効果はあるとのことです。運動で脳に血液が送られ、神経幹細胞が増殖されます。万一直接心の病に効果なくてもこれらが一般的に心身にいいことは言うまでもありません。

★ 「妻を帽子とまちがえた男」 オリバー・サックス 著 

★ 「心の傷は脳の傷―うつ病・合失調症・認知症が治る 」 田辺功 著

2009.11.29 / Top↑

★ 「森林浴」の効果が注目されています。森林にいると心が落ち着き元気が出ることは体感的に昔から言われたことですが、科学のメスが入れられ、最近は国、研究機関、大学などで「森林セラピー研究会」も作られ本格的研究がされています。ことさらに「森林」に入らなくても、近くの緑豊かな公園や、植物園などでもいいのでしょうが、現在証明されている森林浴の効果について記載します。文字どおり入浴するようにただ森に浸ればいいのです。エエことずくめ、ゼニも入りません[E:wink]

 なお今回は ヒーリング愛らんどさんの記事から及びウイキペディアからの転載が多いです。厚く感謝いたします。

 森林浴バーチャル体験
 上をクリックしてください。1分余りで極く短いです。このリズムが後述の「1/fゆらぎ」です。音声は大にしてください。

 また前回記事の臨死における脳内物質の大量放出はその後も調べましたが、現在確実とされています。わたしの勉強のためにも書いていますが、このような記事で間違いは許されませんので、何かございましたら遠慮なくご教示ください。

        【お詫びと訂正】

 記事を読んでいただいた方からのご教示がありました。マイナスイオンについてです。現在の科学では否定されていて、「本来のマイナスイオンOH-などは有毒ですから実際に発生させると非常に危険です」ということです。ほかのNK細胞等はよく分からず調べましたが、わたし自身「マイナスイオン」を単純に信じていて、今回ほとんど調べもせずここは主に引用で書いていました。ご教示いただき、ウイキペディアで見てもほとんど100%否定的です。専門的には色々あるウイキペディアでしょうが少なくともこれは見ておくべきでした。
 わたし自身、エセ科学は大嫌いで、ましてそれで金儲けなど嫌悪していますが「マイナスイオン」はまさにそれなのですね(^_^;)。ちょっと前、マイナスイオンが喧伝され、電化製品のうたい文句になったイメージがそのまま生きていました(今でも大手でまだ見られますが)。その方のご教示、ちょっと調べたことなどでわたしもマイナスイオンの効用は否定します。譲っても少なくとも証明されているとは考えません。要は不況で売れなかった電気製品を何とか売ろうと考え曖昧であったマイナスイオンをうまく宣伝利用したと言うことのようです。科学用語ではなく言わば商品用語なのですね。ていのいい詐欺ですが。同じようにアルファ波についてもその後の調べで、厳密にはまだ未解明の所もあり記事を訂正しています。
 わたし自身勉強のために書いていますが、今回は本当に勉強になりました。またこのようなことがあればどうか遠慮なくご教示ください。ちゃんと読んでいただいた上のご教示、ご意見はもちろん大歓迎です。それで記事がより正確で豊かになると思っています。お詫びして該当の部分は削除させていただきました。本当にありがとうございました。

[E:club] 生まれついての「ガン」マン NK細胞の活Dsc07261
 NK細胞(ナチュラルキラー細胞―文字通り生まれついての殺し屋。殺傷力が高く、常に体内をパトロールし、ガン細胞やウイルス感染細胞を見つけると、単独で直接殺す。白血球内にある)が森林浴で活性化するかを調べた研究で、日本医科大学公衆衛生学の李卿(り けい)教授たちが取り組んだ実験があります。実験方法はストレス状態にある12名の男性社員に、長野県の森林で3日間滞在してもらい、森林浴前後にNK細胞の機能が活性化するかを調べたものです。結果、1日目26.5%、2日目には52.6%もの活性化が見られ、NK活性が増強されたという結果が現れました。 同時に抗がんタンパク質の濃度も上昇していることが確認され、がん予防、健康増進などへの活用法が現在研究されています。騒がれている新型ウイルスにもきっといいはずです。

[E:club] 森の抗菌剤 優しい殺し屋 フィトンチッド
 フィトンチッド(fitontsid)はロシア語で「樹木から放散されて周囲の微生物などを殺すはたらきをもつ物質」を意味します。樹木の香気成分であるテルペン類がこれに相当すると考えられており、森林浴の効用の源となっているばかりでなく、古くから生活の知恵として様々な場面で利用されてきました。例えば、檜造りの家には虫がつきません。檜の精油には、ヒノキチオールなどの殺菌成分をはじめ、さまざまな成分が含まれています。桜餅や柏餅フィトンチッドの抗菌・防腐効果を利用したものです。また、森林の中では動物が死んでも匂わないのはフィトンチッドの抗菌・消臭効果のおかげです。
 このように他の植物や細菌などを撃退する働きをするフィトンチッドですが、人間にとっては病気を治したり、健康を維持する働きがあり、昔から漢方薬や生薬として利用されてきました。近年になって研究も進み、森の中に漂う揮発性のフィトンチッドは、私たちの身体に触れると、肝臓の活動を高める酵素の活性化、香りによる清涼効果、生理機能の促進、二日酔い・体調不良時の頭痛・吐き気の軽減など、数多くの効果を与えてくれる事がわかってきています。また、森の中でリラックスできるのは、フィトンチッドが副交感神経を刺激して、精神を安定させたり、ストレスの解消などのやすらぎを与えてくれるからだという事もわかってきました。

[E:club] 森は自然の空気清浄機 マイナスイオン  (削除させていただきます)
 森や川、海などで心身がスッキリしたという経験はどなたもあると思いますが (中略) 弱った細胞を活性させ自己治癒力を高めるので、疲労回復、肩凝り、筋肉痛、神経痛、血液障害、不眠症、慢性便秘、内臓疾患、成人病、婦人病などに効果があるとされています。

※ アルファ波(α波)と香りについて
 アルファ波人・動物の脳が発生する電気的信号(脳波)のうち、8~13Hz成分のことをさします。他の周波数によりδ波(デルタ波)等があります。安静にして閉眼した時の脳波は、他の周波数成分に比べてアルファ波の占める割合が高く、肉眼でも観察され、基礎律動の主成分をなしています。アルファ波の発生機序については様々な仮説が提案されているものの未だに不明ですが、脳や意識の状態によって変化することが経験的に知られているため、意識障害、認知症、精神疾患、睡眠障害などの診断補助・状態把握に用いられることがあります。アルファ波が出るからリラックスできているのではなく、リラックスしたからアルファ波が観測できるのが事実です。近年、アルファ波の出る音楽CDとか宣伝されていますが、それについてウイキペディアから引用します。「「アルファ波(が出る)音楽」などと、アルファ波という言葉を商品の宣伝に用いることが増えているが、その場合は単に「リラックスできる音楽」と言っているのと同じである。耳から入った音楽に同調して脳波にアルファ波が出現する,というような宣伝文句は科学的根拠を欠く。 しかしながら近年(2003年)、耳から入った音楽(サウンド)に同調して脳波からアルファ波が出現したという実験結果が報告されているので、音楽とアルファ波の関係を否定することはできない。参考:http://ci.nii.ac.jp/naid/110002913628/
 いい音楽、小川のせせらぎなど耳に心地よいものは後述の「1/fのゆらぎ」であり、アルファ波との関係は上記のようにまだ未解明のところがあります。ただ心地よく安らぐのは事実ですまた森の香りは何か懐かしいものです。香りは香水でわかるように本能と直結しています。心地よい香りでいい気分に。

[E:club] 目と心に優しい緑色
 色鮮やかな広葉樹林の新緑や青々とした夏の緑が、私たちの目を休ませ、気持ちを落ち着かせてくれます。緑色は人間にとってもっとも明るく、見やすい色であることから目と心に優しいと言われています。また、赤色は暖かく、青色が冷たいイメージを与えるのに対し、緑色は中間の穏やかな感じを与えることが生理的な実験によって確かめられています。

[E:club] 自然は天然の音楽 
 町の騒音は、森に入るにつれて小さくなり、かわりに、枝葉が風にそよぐ音や小鳥のさえずり、小川のせせらぎなどの心地よい音色が私たちの耳を楽しませてくれます。
 時間とともに変化する不規則な変動を「ゆらぎ」と呼びますが、この現象の1つの「1/fゆらぎ」が気分を和らげ快適さを感じさせることが最近の研究でわかってきました。森の中の音はこの「1/fのゆらぎ」と呼ばれる自然のハーモニーを奏でて私たちに安らぎと快適感を与えてくれるのです。
※ 「1/fゆらぎ」 (エフぶんのいち ゆらぎ )  パワーが周波数に反比例するゆらぎ―不定の揺れのこと。あらゆる物理現象、生物現象などに現れる。具体的には人の心拍の間隔や、音楽、風、枝葉のさわめき、小川のせせらぎ、アルファ波、目の動き方、木漏れ日、蛍の光り方など。その発生機構や効果は研究途上にある。規則正しい音とランダムで規則性がない音との中間の音で、人に快適感を与える。人間の根本的なリズムとも言える。

[E:club] 柔らかな日差し 森は自然のパラソル
 日光浴は、ビタミンD不足を補い骨粗しょう症を予防したり、病気に対する抵抗力がつくなどの効果があることから、中高年や屋内にいることが多い人にとっては大切な健康法なのですが、強い日射しはかえって有害な紫外線を浴びることになり必ずしも良いとは限りません。その点、森の中では、緑のフィルターにより太陽光線の80%が吸収されるため、真夏でもちょうど良い木洩れ日での日光浴を楽しむことができます。お肌にももちろん優しいです。

[E:club] ご承知のように、根本的に植物は光合成で炭酸ガスを吸収し酸素を大量に供給しています。言わば動物の生きる源泉です。第一、森を歩くことはそれだけで通常のウオーキング効果があり、心身にいいことは言うまでもありません。ゆっくり自然を楽しみながら、写真でも撮りマイペースで。持続効果もあり週に1回ほどのペースでも十分だと思います。そして人間の意識は不思議なものでこれらの効用を意識しているとそれだけで効用が増すと言われています。何十万年、森で猿のように暮らしてきた人間、森は根源的なふるさとです。たかだか100年ほどのしゃらくせぇ「現代人」の仮面を捨て、時にはふるさとへ帰りいのちのシャワーを。わたしはしょっちゅう森へは行きますが実感します

[E:club] 「森林浴の森100選」
 下記は、林野庁や学会が共同で、1986年に制定した「森林浴の森100選」です。日本100名山のようにキリはいいですが、もちろんこれに限らず近くの森で十分です。一つの参考にはなると思います。きっとあなたの近くにもあるはずです。

森林浴の森

所在地
北海道 1 野幌森林公園 札幌市
2 函館山 函館市
3 利尻島自然休養林 利尻郡東利尻町
4 網走自然休養林 網走市
青森県 5 浅虫生活環境保全林 青森市
6 十二湖自然休養林 西津軽郡岩崎村
岩手県 7 安比高原ブナ林 二戸郡安代町
8 耗山国有林十二神自然観察教育林 宮古市
9 高田松原 陸前高田市
宮城県 10 仙台自然休養林 仙台市
11 宮城県県民の森 仙台市、泉市、利府町
秋田県 12 八幡平 鹿角市
13 能代海岸の松原 能代市
山形県 14 羽黒山・参道の杉並木 東田川郡羽黒町
15 高館山自然休養林 鶴岡市
福島県 16 背あぶり山(会津東山自然休養林) 会津若松市
17 阿武隈川源流の原生林 西白河郡西郷村
茨城県 18 奥久慈憩いの森 久慈郡大子町
19 大洗の松林 茨城郡大洗町
栃木県 20 大沼の森 那須郡塩原町
21 釈迦ヶ岳の栃木県県民の森 矢板市
群馬県 22 桐生川源流林 桐生市
23 武尊自然休養林 利根郡片品村
埼玉県 24 埼玉県県民の森 秩父郡横瀬町
25 両神国民休養地 秩父郡両神村
千葉県 26 館山野鳥の森 館山市
27 鹿野山 富津市、君津市
東京都 28 高尾山 八王子市
29 明治神宮の森 渋谷区
30 御岳山 青梅市
神奈川県 31 藤野(相模湖)の雑木林 津久井郡藤野町
32 真鶴岬 足柄下郡真鶴町
33 西丹沢神奈川県県民の森 足柄上郡山北町
山梨県 34 青木ヶ原樹海 西八代郡上九一色村、西都留郡足和田村、鳴沢村
35 西沢渓谷歩道 東山梨郡三富村
長野県 36 赤沢自然休養林 木曽郡上松町
37 角間渓谷 小県郡真田町、東部町
新潟県 38 五頭新潟県県民の森 北蒲原郡笹神村、東蒲原郡三川村
39 弥彦神社社叢 西蒲原郡弥彦村
富山県 40 とやま県民公園頼成の森 礪波市
41 立山美女平、ブナ坂、下ノ小平 中新川郡立山町
石川県 42 鉢伏山 鳳至郡柳田村
43 石川県県民の森 江沼郡山中町
福井県 44 九頭竜国民休養地 大野郡和泉村
45 八ヶ峰家族旅行村 遠敷郡名田庄村
岐阜県 46 城山公園 高山市
47 付知峡 恵那郡付知町
静岡県 48 富士山自然休養林 富士宮市、富士市、裾野市、御殿場市
49 天城山自然休養林 田方郡天城湯ヶ島町、中伊豆町、賀茂郡河津町、東伊豆町
愛知県 50 昭和の森 西加茂郡藤岡町
51 森林公園 尾張旭市
52 愛知県県民の森 南設楽郡鳳来町
三重県 53 赤目四十八滝 名張市
54 伊勢三郷山 伊勢市
滋賀県 55 雨山生活環境保全林(臥龍の森) 甲賀郡石部町
56 金勝山 栗太郡栗東町
京都府 57 くつわ池自然公園 綴喜郡宇治田原町
58 大江山の森 加佐郡大江町
大阪府 59 箕面公園 箕面市
60 金剛山 南河内郡千早赤阪村
兵庫県 61 天滝渓谷 養父郡大屋町
62 布引と再度山 神戸市
奈良県 63 大台ケ原 吉野郡上北山村
64 玉置山 吉野郡十津川村
和歌山県 65 高田の里 新宮市
66 歴史の道熊野古道 東牟婁郡本宮町
鳥取県 67 打吹山 倉吉市
68 三徳山 東伯郡三朝町
島根県 69 山瓶山 大田市
70 ふれあいの里奥出雲公園 飯石郡掛合町
岡山県 71 岡山県立森林公園 苫田郡奥津町、上斎原村
72 西栗倉村若杉天然林 英田郡西栗倉村
広島県 73 三段峡 山県郡戸河内町、芸北町
74 もみの木森林公園 佐伯郡吉和村
山口県 75 室積・虹ヶ浜海岸松林 光市
76 長門峡 阿武郡阿東町、川上村、佐波郡徳地町
徳島県 77 徳島県立青少年の森 那賀郡鷲敷町
78 大川原生活環境保全林 名東郡佐那河内村、勝蒲郡上勝町
香川県 79 紫雲出山頂園地 三豊郡詫間町
80 石清尾山塊 高松市
愛媛県 81 竜沢寺緑地公園 東宇和郡城川町
82 諏訪崎自然休養林 八幡浜市
高知県 83 足摺岬自然休養林 土佐清水市、幡多郡大月町
84 天狗高原自然休養村 高岡郡東津野村
福岡県 85 英彦山 田川郡添田町
86 足立公園 北九州市
佐賀県 87 虹の松原 唐津市、東松浦郡浜玉町
88 猪堀の滝 東松浦郡浜玉町
長崎県 89 上山公園 諫早町
90 雲仙あざみ谷 南高来郡小浜町
熊本県 91 くまもと自然休養林菊池渓谷 菊池市
92 端海野森林公園 球磨郡五木村
大分県 93 国東半島両子山遊歩道 西国東郡安岐町
94 祖母山麓川上渓谷 大野郡緒方町
宮崎県 95 えびの高原池めぐりの森 えびの市
96 九州中央山地国定公園綾地区 東諸県郡綾町
鹿児島県 97 十曾渓谷 大口市
98 屋久杉林 熊毛郡屋久町
沖縄県 99 .沖縄県立少年自然      の家の森 石川市
100 西表自然休養林 竹富町

2009.11.22 / Top↑

★ 一昔前までどんなに科学が進んでも人間の「心」は解明できないと言われたものです。わたしも昔はそう思っていました。だからこそ芸術や宗教も存在すると。しかし現代の脳科学は長足の進歩を遂げています。次第に「心の神秘」も解き明かされています。ただ、もちろんまだまだ発展途上です。そして将来、完全に解明されるかどうかもわかりません。しかし現代科学の成果を知ることはこの世を生きぬく上で極めて有効と思っています。今日は泣き、笑い、落ち込み、張り切るなどの情動に大きな役割を持っている脳内物質の話です。

★ 情動を司る脳内物質 どんなものがImgc018_b

 外からの刺激を受けると、特定の脳内物質が脳の神経細胞間で放出され、脳内神経ネットワークにその情報が伝えられます。その結果、快不快などの感情が起こるのです。神経ネットワークの働きは電気変化と化学変化です。情動も結局このような化学物質により起こされています。主な脳内物質を下に記載しています。 

● ドーパミン
 快感や喜び、やる気などを感じた時に分泌されます。パーキンソン病の患者はドーパミンが減少しています。逆に過剰に分泌されると統合失調症(精神分裂病)になるといわれます。覚せい剤やコカインなどの麻薬はドーパミンの分泌を増加させて快楽を得る薬物です。学習とやる気の強化因子です。薬物で異様な創造力を刺激するアーチストの気持ちもわからないではありませんが。
● ノルアドレナリン
 
ネガティブな気持ちを引き起こす脳内物質。この分泌が多いと、不安やストレスが増します。
● セロトニン
 幸福感や満足感を作り出す脳内物質です。精神を安定させる働きがあり、不安になるとノルアドレナリンドーパミンを減少させて「癒しの効果」を作り出すといわれています。セロトニンが不足すると様々な依存症になったり、うつ病になりやすいのです。またセロトニンは睡眠導入作用のあるメラトニンというホルモンの分泌を促進し、安眠に導くと言われています。原料となるアミノ酸は肉や牛乳に多く含まれ、特に牛乳からの摂取が最適です。そして満腹中枢を刺激するので、食前に牛乳を飲むことはセロトニンを増やすと共に食べ過ぎ予防にもなります。セロトニン分泌が少ないと不安の裏返しの「切れ」やすい状態も作ります。俗に切れやすい子には牛乳をと言いますが、当たっているわけです。
 セロトニンは日光と規則正しいリズムによって分泌が多くなることが知られています。従って規則正しい生活、毎日外を歩くなど相当の効果があることが証明されています。要は外を歩いて帰ったら牛乳です[E:sun]。中でも森は最高です。フィトンチッドが発散され免疫力も向上させます。また幼児期の十分な愛情がセロトニン分泌機能を発達させると言われています。何のことはない、昔流の暖かい母子間愛情、戸外での活発な遊びが最も有効なわけです。近年子供が切れやすくなったというのもきっとこの辺に原因の一つがあると思います。
● βエンドルフィン
 脳で作られ脳内麻薬と呼ばれる化学物質の一種です。痛みやストレスを減少させる効果があり陶酔する感覚を作り出します。マラソンを走ったときになる「ランナーズ・ハイ」のように、苦しくて走りたくないのに快感を得るために走ってしまうのも、この脳内物質の作用です。これは何度も経験ありますのでよくわかります。人間が「はまる」状態にはこのβエンドルフィンが大きく作用しています。ランニングやパチンコ、ギャンブル、仕事、恋愛さえそうです。諸刃の剣ですね。
● アセチルコリン
 記憶や学習と関係のある脳内物質です。アルツハイマー病の患者の脳では、アセチルコリンが減少しています。アルツハイマー病の患者にアセチルコリンを投与すると記憶が改善されることがあるそうです。
● GABA(ギャバ)
 正式名はγ(ガンマ)アミノ酪酸。最近、GABAを含んだ健康食品やチョコレートの宣伝を、マスコミやTVでよく耳にします。GABAは不安を鎮めたり、睡眠を促進する効果があるといわれています。GABAの分泌が少ないとセロトニン分泌も少なくなり、逆にノルアドレナリン分泌が多くなるため「切れ」やすくなると言われています。

 改めて心と体の密接な関係に驚きます。もちろん脳内物質だけの問題ではなく心理的なものも大きいでしょうが、心を体が支配することもあることが証明されたのは人間にとり大きな革命的進歩だと思います。そして脳は一生変化し続けます。昨日の不調は明日の快適になる可能性も大きいのです。確かな知識とそれによる明確な希望が最も大切なのだと思います。

★ 「神」の恩寵か 死するときの神秘 

 最後に超「神秘」の死するときの脳内物質の大量放出についてです。わたしはこれにはいたく感動しました。人間の生命の「神秘」、これが創造主の最後の恩寵であるとすれば創造主さえ信じたくなります。しかしきっとこれも生命38億年の進化の成果だと思っています。このように生命は38億年かかってプログラムされたのです。タイトルは「スピリチュアリズム」となっていますが、これはいわゆる「スピリチュアリズム」の皮肉のようなもので本人は脳科学者です。著作の全部に納得したわけではないですがこの部分は深い感動をよびました。
《「スピリチュアリズム」苫米地英人(とまべち ひでと) 「にんげん出版」》より

 「ドパーミンをはじめとするありとあらゆる脳内伝達物質が、脳が壊れるときに大量に放出されます。ですからまず、気持ちが良い。……要するに、臨死体験のときは超大量の脳内伝達物質が出て、凄く気持ちが良い体感をする。同時にありとあらゆる幻視・幻聴・幻覚が起こります。
 もうひとつは、時間が無限に長くなっていきます。時間感覚が変わっていくわけです。たとえば走馬燈のように自分の人生の歴史を見るとか言いますが、それはあたりまえのことで、脳内の神経細胞が壊れるにあたってとてつもない脳内伝達物質が放出されますから、最後の最後に脳が超活性化されるのではないかと思います。線香花火の最後の一瞬のようなものです。すると、たくさんの記憶を同時に見る。……臨死体験のときは、同時に全部認識するわけです。走馬灯のように一生を経験するというのは、……短い間に一生の体験を全部同時に認識するわけです。内省的には一生を全部ゆっくり体験したかのように感じています。時間の感覚がどんどん変わっていくからです。生という状態から限りなく死に近づいていく、死という接点に向かって永遠に近づき続ける接線のようなものです。死んでいく人にとって、体感としての時間はとてつもなく長くなっていきますから、もしかすると死は永遠にやってきてないかもしれません」

 「死は永遠にやってきてないかも」、もちろん比喩的な言葉です。眠る瞬間を誰も意識できないように死の決定的瞬間は誰にも意識できません。一生を走馬燈のように思い出し、一瞬でありながら、永遠の時間のように感じる、これほどすばらしいことがあるでしょうか。わたしはここまで思ったときやはり宗教の力も偉大と思いました。幻想でももちろん結構、死に臨み信ずる宗教のパラダイスを想い「永遠」にそれを心に刻んだと思うのであればこれほどの極楽往生があるでしょうか。全く不信心のわたしですが、せめて最後はこの上なく美しいイメージに包まれたいと思いました。(そりゃあんたは無理だわ[E:happy01])。人間のみが悲しみ苦悩する、そのために宗教や芸術が生まれた、これは想像以上に大きな意味があることなのだと思います。

★ 「スピリチュアリズム」 苫米地英人 著

2009.11.19 / Top↑

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